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マネーロンダリングとは?3つの手法と具体例を解説

マネーロンダリングとは? 3つの手法と具体例を解説

「マネーロンダリング」について皆さまは、どの程度ご存知でしょうか?
犯罪行為であるということは理解しているものの、どこか遠い世界のことのような気がしていませんか。

実は、マネーロンダリングが横行してしまうと、私たちの生活が大きく脅かされることにもなるのです。
ここでは、マネーロンダリングについていくつかの事例を交えながらご説明しつつ、マネーロンダリングの脅威についてご説明いたします。

マネーロンダリングとは

マネーロンダリングとは、資金洗浄のことです。

麻薬取引や脱税などの犯罪などで得たお金を、他人名義の金融機関口座などを利用して、送金を繰り返したり、株の購入などを行なったりすることにより、お金の出所を分からなくする行為のことで、法律で禁止されています。

マネーロンダリングの手法

警察庁の「犯罪による収益の移転の危険性の程度に関する評価書」のなかに、マネーロンダリングの手法についての記載があります。

それによると、マネーロンダリングには3つの手法があります。

  1. プレイスメント・・・犯罪収益を金融システムに組み込む段階
  2. レイヤーリング・・・犯罪収益の出所を不透明にするため資金源から分離する段階
  3. インテグレイション・・・犯罪収益を合法的な経済活動に投入する段階

犯罪など不当に得た資金は、本来あった合法的な資金と一緒にすることにより犯罪で得た資金であることは分かりにくくなります。
貯蓄性がある保険商品の掛金として使用したり、有価証券や仮想通貨に換えたりすることにより資金の出所を分からなくすることから、資金洗浄(マネーロンダリング)と呼ばれているのです。

規制されているマネーロンダリング行為について

マネーロンダリングは、法律で禁止されている行為ですが、具体的にどのような行為がこれらに当たるのでしょうか?
実際に、「組織犯罪処罰法」で規制されているマネーロンダリング行為について見ていきましょう。

  1. 法人等事業の経営支配罪・・・犯罪収益などを用いて、株主等の地位を取得したものが法人の経営を支配する目的で経営権を講師すること等
  2. 犯罪収益等隠匿罪・・・犯罪収益などの取得や処分の事実を仮装する行為、犯罪収益などを隠す行為、犯罪収益の発生原因を隠す行為(未遂罪・予備罪にも処罰規定あり)
  3. 犯罪収益等収受罪・・・犯罪収益であることを知りながらそれを受け取る行為

警察庁によると、2018年に全国の警察が摘発したマネーロンダリングの事件は、511件でした。
前年と比べると4割増加しています。

内訳は、組織犯罪処罰法が禁じる違法な収益の隠匿が最も多く377件、次いで収受が126件でした。
犯罪の種類としては、窃盗関連が191件で、全体の37.3%、次いで詐欺関連が162件、ヤミ金融関連が28件だったということです。

なかには、国際的な犯罪組織が資金洗浄のために日本の銀行口座を悪用したケースも確認されたということで、捜査関係者によると、日本は海外の組織から犯罪収益を紛れ込ませやすいとみられている可能性があるということです。

現在日本国内の金融機関では、犯罪に関与していると見られる取引に関して国への届け出が義務付けられています。

2018年には、全国の金融機関から国に41万7465件の届け出がなされています。
このうち暗号資産(仮想通貨)交換会社からの届け出は7096件と、前年と比較すると10倍以上に増加しています。
仮想通貨は、マネーロンダリングに悪用されやすいとして、警察当局でも警戒しています。

マネーロンダリングの具体例

マネーロンダリングの具体例

それでは実際に、警察庁の資料からマネーロンダリングとして検挙された事例を見ていきましょう。

架空取引

企業間の架空取引によって得た金銭の一部を、親族名義の銀行の貸金庫に預けた。

融資金詐欺

会社の財務内容を偽って得た融資金の一部を、事情を知らない第三者の手で他人名義の証券口座に振り込ませ、株投資に利用していた。

違法営業と知りつつ家賃名目で金銭を受け取った

違法に風俗店を営業していた男に建物を貸し、違法営業と知りながら家賃という名目で金銭を受け取り、家族名義の積立式の保険の掛金に充当していた。

特殊詐欺、組織犯罪処罰法違反

市役所の職人になりすまし騙し取った他人名義のキャッシュカードから現金を引き出し、他人名義の口座に入金した。

法人等事業経営支配

風営法上の営業許可を取らずに違法に営業していた店舗の収益を、株式会社の出資金に充て自ら代表取締役に就任した。

組織的犯罪処罰法違反および詐欺罪

国外の被害者から日本国内の法人銀行口座に送金させたお金を、事業収益と装って払い戻しを受けた。

マネーロンダリングを防止するための日本国内での対策

日本では、2007年1月4日から、本人確認法(現在の「犯罪による収益の移転防止に関する法律」)が一部改正されました。
本人確認法(現在の「犯罪による収益の移転防止に関する法律」)とは、金融機関等による顧客の本人確認および預金口座等の不正利用の防止に関する法律のことです。

これにより、現金でのATMの振込限度額が10万円に引き下げられました。
10万円を超える現金での振り込みを行なう際には、窓口にて本人確認書の提示が必要となります。

これらは、近年増加している「振り込め詐欺」防止対策のひとつにもなっています。

また保険会社では、200万円を超える現金取引や保険金の支払いの際には、取引時確認や記録の作成・保存を行なわなくてはいけません。
取引に疑わしい点がある場合は、届け出義務も生じます。
ファイナンスリース事業者やクレジットカード事業者、宅地建物取引業者、仮想通貨交換業者、カジノ事業者なども同様の対応が義務付けられています。

まとめ

マネーロンダリングによって洗浄された資金は、犯罪組織の活動資金に流用される恐れがあります。
そのため、マネーロンダリングの取り締まりを強化することで、一般人を守っているのです。

国際的にも問題視されているマネーロンダリング。
国際基準による防止策を国内の金融機関などでも徹底させることが重要です。

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