配偶者控除が廃止される!?廃止されたらどうなるの?
配偶者控除に廃止の動きが見られています。
現在、配偶者控除により節税などの恩恵を受けている方にとっては、大変気になる問題でしょう。
「もし配偶者控除が廃止されたら、税金はどうなるの?」
「配偶者控除が廃止されるなら、パートはしない方が得?」
このようにお考えになっている皆さまに、今回は、配偶者控除が廃止されたらどうなるのか?
現在パートタイマーで働いている方や、子育て世帯の皆さまが気になる問題について解説いたします。
目次
配偶者控除は本当に廃止される?
近年よく耳にする「配偶者控除が廃止される!?」という問題について、廃止される可能性についてお話しましょう。
ズバリ!
配偶者控除と配偶者特別控除が廃止される可能性は、十分あります。
その根拠は、2017年の税制改正大綱により、配偶者控除と配偶者特別控除に関する改正が行われた点にあります。
この改正により、控除額の変更、給与所得者に対する所得制限などが設けられました。
これは、配偶者控除と配偶者特別控除廃止に向けた序章であるといえます。
配偶者控除の廃止はいつ?
可能性としては、いつ廃止されてもおかしくない状況です。
そもそも配偶者控除は、1961年に始まりました。
当時、夫は外に働きに出て、妻は家庭を守るという家族の構図がありました。
妻が長時間働くという概念がなかったため、家計を支えるため妻がやむを得ず働きに出る家庭を優遇するという風潮があったように思います。
しかしながら、共働き家庭が増えた現代においては、専業主婦やパート主婦が働きに出た場合、働き方によっては基礎控除と配偶者控除の両方の控除を受けることができるため、不平等感が否めません。
またこの二重控除が、女性の社会進出を妨げている要因のひとつとされています。
配偶者控除の代わりになる制度はある?
実は、配偶者控除が廃止になる代わりに、新しい所得控除の導入も検討されています。
新しい所得控除では、夫婦それぞれが基礎控除を受け、控除しきれなかった部分に関しては、配偶者に移転し控除ができる仕組みが検討されています。
また、夫婦の収入を合算して一定の所得控除を行なう仕組みも検討されているようです。
これにより、現在の二重控除は解消されますが、逆に別の問題も生まれてくると懸念されています。
次の項では、配偶者控除が廃止された場合、どのような影響が出てくる可能性があるのかについて見ていきましょう。
配偶者控除が廃止にともなう3つの影響
配偶者控除や配偶者特別が廃止された場合、私たちの生活にはどのような影響があるのでしょうか?
考えられる影響は3つです。
年収の壁と社会保険の壁
現在の配偶者控除や配偶者特別控除においては、配偶者の収入が控除の上限額を超えてしまうと働くメリットが減少する年収の壁があります。
以前は年収103万円を超えると控除の適用外となっていましたが、税制改正後の2018年からは、配偶者控除によって150万円までは満額が適用されるようになりました。
この150万円は、配偶者特別控除を配偶者控除と同じ38万円の上限で受けられる年収の範囲です。
これにより、配偶者特別控除は、収入が増加するにつれ縮小するものの、201万円までは控除が受けられることになっています。
次に社会保険の壁です。
年収106万円からは、勤務先の規模や勤務時間にもよりますが、社会保険へ加入することになるため、社会保険料の負担が強いられます。
また130万円を超えると、配偶者の扶養から外れ、勤務条件に関わらず社会保険への加入が義務付けられます。
また2019年の法改正により、常時101人以上の従業員が働く事業場においては、パートタイマーやアルバイトであっても、一定の要件を満たす場合は、社会保険への加入が義務付けられるようになっています。
この両方の壁が取り除かれることにより、収入は上がるものの、社会保険料の負担が生じることになり、場合によっては手取りが少なくなる場合も出てくるなどの影響も考えられます。
女性の社会進出の促進
これまで、収入の壁と社会保険の壁があったため、女性の社会進出は思うように進んでいませんでした。
しかし、これらの壁がある程度取り払われたことによって、女性の働き方も徐々に変化してきました。
働く女性が増えてきている一方で、まだある壁のために労働時間を抑制している人が一定数いることも避けては通れない現実です。
そのため、配偶者控除が廃止されれば、女性がもっと社会進出しやすい環境が整うということになります。
重い税負担により子育て世帯が困窮
配偶者控除や配偶者特別控除は、本来、子育て世帯の負担を減らすための政策だといえます。
妻がパート(年収65万円~141万円未満)をしている子育て世帯を例にとってみましょう。
現在は、夫婦の基礎控除がそれぞれ38万円に加え、最大38万円の配偶者控除があるので、最大114万円の控除が受けられることになります。
しかしながら、配偶者控除や配偶者特別控除が廃止されれば、これらの控除が受けられなくなり、税負担が重くのしかかります。
子育て世帯にとっては大きな痛手です。
配偶者控除廃止による4つのメリット
配偶者控除廃止による4つのメリットについてご紹介いたします。
共働き世帯とパート主婦世帯との不平等感の解消
配偶者控除と配偶者特別控除が廃止されることにより、パート主婦世帯における二重控除問題が解消されます。
労働時間の調整の必要性がなくなる
配偶者控除と配偶者特別控除が廃止されれば、節税のために労働時間を調整しなくてもよくなります。
女性の社会進出の増加
女性の社会進出がしやすくなります。
これまで働き控えをしていた女性たちが、正社員になるなど、女性の働き方が変化します。
女性の労働力が増加し、女性が管理職になれる環境が整いやすくなります。
家計の所得アップ
フルタイムで働く女性が増えれば、家計の所得もアップします。
これにより消費も増え、経済が活性化されます。
また子どもも産み育てやすくなります。
配偶者控除廃止による2つのデメリット
次に、配偶者控除廃止によるデメリットについて見ていきましょう。
女性の社会進出に思うほど期待できない可能性も
2003年から2013年の10年間における配偶者控除の適用者数が20%減少しているというデータがあります。
そのため、配偶者控除廃止による女性の社会進出は思うほど進まないのでは?という見方もあります。
また配偶者控除廃止により女性の社会進出を促進しようと思えば、男性の産休・育休の普及が絶対条件になります。
まだまだ課題は山積みです。
子育て世帯への負担増
子育て世帯への負担が増えると前述しましたが、これにより子どもを諦めるという世帯も増えてくる可能性もあり、そうなれば、<em
さらに少子化が進む可能性もあります。
まとめ
配偶者控除、配偶者特別控除の廃止には、これらの影響やメリット・デメリットが考えられます。
とはいえ、制度改正の議論は続いているため、廃止時期こそ分からないものの、必ず廃止になるときがくると言えます。
現在控除のメリットが大きい子育て世帯ほど、廃止後のダメージは大きいと考えられます。
今から控除廃止の動きを注視しながら、廃止になったときの対策を練っておく必要があります。