信託報酬が高いと損する?ファンドの性質で賢く使い分け
あなたの信託報酬いくらかご存知ですか?信託報酬高いと損する?信託報酬に注目!!
投資家の皆さまが一番気にされているのは、運用成績ですよね。
ちなみに、あなたがされている投資信託の信託報酬についてご存知ですか?
信託報酬については、あまり気にされていない方が多いというデータがあることから、今日は、信託報酬についてご説明したいと思います。
目次
信託報酬とは
信託報酬とは、投資信託を運用したり管理をしたりする際にかかる費用のことを指します。
信託報酬は、投資家に請求があり別途支払うものではありません。
「準資産総額に対して〇%」という形で、投資家の皆さまの信託財産から差し引かれています。
差し引かれた信託報酬は、投資信託を販売している販売会社、信託財産を管理運用している銀行、運用の指示を出す運用会社で分配されています。
あなたの信託財産にかかわる会社に支払う手数料であると考えると分かりやすいかもしれません。
そのため、信託報酬は、運用成績に関わらず、投資信託を保有している間ずっと支払い続ける必要があります。
毎営業日に発表されている基準価額は、すでに信託報酬が差し引かれているため、よくよく気を付けていないと気が付いていない方もいらっしゃるかもしれませんね。
信託報酬は、ファンドによって異なる?
信託報酬は、ファンドによって異なります。
年率0.1%~3%を超えるものまでさまざまです。
どうして、ファンドによってそれほどまでに異なるのでしょうか?
それは、運用手法の違いにあります。
簡単にいえば、運用成績を重要視するのであれば信託報酬は高くなる傾向があるのです。
株式運用には、パッシブファンド(インデックスファンド)とアクティブファンドがあります。
パッシブファンドとアクティブファンドについて比較してみましょう。
パッシブファンド(インデックスファンド)
パッシブファンドとは、インデックス(市場全体)の動きと同じ運用成果を目指して運用する手法です。
パッシブファンドの特徴を挙げてみましょう。
- 運用会社の報酬が低水準である
- 銘柄選定がシンプルで比較的手間がかからない
- 銘柄の入れ替えが少ない
このような特徴があるため、売買手数料などのコストが少なくてすむため、信託報酬は安くすみます。
アクティブファンド
アクティブファンドとは、上昇が期待できる銘柄を厳選することにより、運用成果を上げることを目的とした運用手法です。
アクティブファンドの特徴を挙げてみましょう。
- 銘柄選定までのプロセスが多い
- 運用成果を上げるために、積極的な売買を行なう
このような特徴があるため、アクティブファンドはパッシブファンドよりもコストがかかります。
そのため、アクティブファンドの信託報酬はどうしても高くなってしまうのです。
信託報酬が高いと損するのか?
それでは、本題に戻りましょう。
信託報酬が高いと、投資家は損をするのでしょうか?
例えば、信託報酬が年率0.5%異なると、投資家にとってどのような影響があるのか見ていきましょう。
100万円を20年間、年率5%で運用しているとしましょう。
信託報酬が0.1%の場合、20年後には約260万円
信託報酬が0.6%の場合、20年後には約235万円になることから、
20年で、約25万円の差が出てくることになります。
信託報酬が高いファンドは、投資家にとってメリットも少ない?
前項で、信託報酬によって大きな差が出てくることがお分かりになったと思います。
「それなら、信託報酬が高いファンドだと損するよね!?」
このように思った方も多いでしょう。
しかしながら、一概には言えないのです。
アクティブファンドは、インデックスファンドに比べ信託報酬が高い分、パフォーマンスも高い場合が多いのです。
また、アクティブファンドは積極的に運用しているため、新型コロナウイルスの流行にともなうコロナショックの際にも、銘柄の入れ替えが柔軟にできるため、相応のパフォーマンスを発揮しました。
このように、信託報酬が高い=損をするということにはならないのです。
まとめ
これまであまり注目されることが少なかった信託報酬ですが、少しはご理解いただけましたでしょうか。
信託報酬は別途支払う必要がないため、多くの人がコストとして認識していないことがほとんどです。
しかし中長期の運用では、大きな差が生まれてしまいます。
中長期にわたる資産形成という目的で投資信託をされている場合には、信託報酬が低いほうがコストが少なくてすみます。
一方で、パフォーマンスも考慮したうえで比較すると、信託報酬が低いことが必ずしも良いとは限らないことがお分かりいただけたことでしょう。
アクティブファンドの信託報酬が高い理由は、高いパフォーマンスを目指しているためです。
信託報酬が高い分、銘柄の入れ替えが柔軟にできるなど相場環境が大きく変化した場合にも対応できます。
大切なのは、投資家の皆さまが何を重要視されるか?
大きなパフォーマンスは期待せず堅実に運用したいのであれば、インデックスファンドをお選びいただければよいと思います。
高いパフォーマンスに期待を寄せるのであれば、多少信託報酬が高くても積極的に運用するアクティブファンドを利用するべきだと思います。
そのときの相場環境や資金の性質などに合わせて、最適なファンドを選ぶことをおすすめします。
近年では、テーマ型インデックスファンドという新しいファンドも登場しました。
信託報酬が低く、インデックスファンドに付加価値を加えたものです。
このように時代とともに、投資家の皆さまも選択肢が増えてきています。
信託報酬の性質をよく知ったうえで、うまくファンドを使い分けることが大切です。